脳外科的に治療できる認知症

認知症(認知症様症状)をきたしうる疾患1

根本的な治療が困難な疾患群

  • アルツハイマー型認知症(AD)
  • レビー小体型認知症(DLB)
  • 前頭側頭葉型認知症(FTD)
  • ハンチントン病
  • 脊髄小脳変性症などの変性疾患

これらの疾患群は変性疾患といって現代の医学でも非常に治療の難しい脳の病気です。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの認知症には進行を遅らせる薬や方法がいろいろと考えられているものの、根本的な治療法はまだ見つかっていません。


認知症(認知症様症状)をきたしうる疾患2

ある程度予防が可能な疾患群

  • 多発性脳梗塞
  • 脳出血
  • ビンスバンジャー病
    ⇒ 脳血管性認知症

脳梗塞などの脳血管病が原因で認知症が起こるものを脳血管性認知症といい、その原因は高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などです。ですからこの病気は生活習慣を見直すことで予防が可能な認知症ということができます。


認知症(認知症様症状)をきたしうる疾患3

治療可能な疾患群

  • 甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症などの代謝性疾患
  • うつ病などの精神科的疾患
  • 脳炎、髄膜炎などの炎症性疾患
  • 慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、正常圧水頭症、などの脳外科的疾患

治療が可能な認知症です。内科的に治療ができる病気もありますが、今回は一番下に赤文字で書かれている脳外科的に治療できる(軽くすることができる)認知症についてご説明しましょう。

1慢性硬膜下血腫

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この病気は高齢者にまれに起こる病気で、軽い頭部打撲のあと数週間して脳と硬膜の間に血液が貯留し脳を圧迫して症状を来たす病気です。自分でも覚えていないような軽い打撲でも起こることがありますので周囲の方は注意が必要です。打撲数週間後、なんとなくぼーっとしてきた、反応が鈍くなった、つじつまの合わない会話をするといった認知症のような症状や、頭痛、手足の動きが悪くなってきたなどの症状が出てきたらこの病気を疑って検査を受ける必要があります。

治療は頭蓋骨に小さな穴を開けて、そこから血液を吸引洗浄します。局所麻酔で行う事ができる安全な手術です。血液をサラサラにする薬を飲んでいる人には特に起こりやすい病気ですので、脳梗塞の予防薬(抗血小板剤・バイアスピリン、プラビックスなど)、(抗凝固剤・ワルファリン、プラザキサなど)を飲んでいる方は気をつけましょう。

2脳腫瘍

脳腫瘍

脳腫瘍のCT画像です。この症例は前頭葉という場所に腫瘍ができています。悪性度の高そうな「顔つき」をしています。このような場所に脳腫瘍ができると、自発性がなくなったり、言葉が分からなくなったり(失語)、会話がうまくできなくなり、まるで認知症のようになってしまいます。症状の進行が早く数カ月の間に悪化していきますのでアルツハイマー型認知症のように年単位で進行する病気との区別ははっきりしています。

このケースの様に脳細胞を直接傷害する腫瘍は脳外科医にとって大変手ごわいのですが、脳を圧迫することで症状を来たしている良性腫瘍では症状を完治させることも可能です。

3正常圧水頭症

正常圧水頭症

正常圧水頭症は高齢者に起こる病気です。脳内で産生吸収されながら循環している脳脊髄液がゆっくりと貯留して写真(左)のように脳室が拡大するのが特徴です。脳脊髄液が貯留すると、#1認知症症状 #2歩行障害 #3尿失禁がおこります。これを正常圧水頭症の三主徴といいます。この病気の認知症症状は高度ではありませんが、仕事がうまくはかどらなくなったり、記憶力が落ちたり、反応性や自発性が低下したりします。また、小刻みに開脚ですり足歩行をする特徴的な歩行異常がみられます。

この病気に対しては脳室の髄液を腹腔に流すシャント手術を行います。この手術により写真(右)のように脳室が縮小すると種々の症状が改善されるのです。

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