色々な症状に悩まされる低血圧症(1)

起立性低血圧とは

私たちは日頃の生活の中で色々な動きをしながら生活をしています。通常、横になったり座っている状態から立ち上がると、一時的に心拍数が増え、それに伴って血圧も上昇します。立ち上がることで下半身に血液が集まり、脳に行く血液が減るのを防ぐ自律神経の防御反応です。ところがそれとは真反対の血圧変動をする人がいます。起立時に血圧が急激に低下し、と同時に「立ちくらみ」「失神」などを引きおこすのです。仰臥位から立位に体位変換した時、収縮期血圧が21mmHg以上下降して100mmHg以下(低血圧)になる状態を起立性低血圧と呼んでいます。


どの様な症状が?「起立性調節障害」とは違う?

一番良く見られる立ちくらみに加え、立っていると気持ちが悪くなる、朝なかなか起きられず、午前中が不調、疲れやすい、乗り物に酔いやすい、食欲がないなどの諸症状が見られます。朝礼や体育祭で座り込む女子高校生、電車やバスの通勤中に気分不良で倒れこむOL、深夜のトイレで倒れる高齢者。その多くが起立性低血圧でしょう。

起立性調節障害」では起立性低血圧ほどの極端な血圧低下はありませんが、小児や思春期に多く見られ、多くの不快な症状に悩まされ、楽しいはずの学園生活をつらいものにしています。若い女性に多い起立性調節障害は「起立失調症候群」と呼ばれているように、立ちくらみや動悸、暑さに弱い、顔が青白い、元気が出ない、胃腸の不調、不安感、適応障害など多くの自律神経症状に苦しめられます。「自律神経失調症」「不定愁訴」と診断されている方の中にもこの病態の方が含まれています。


高齢者の低血圧

起立性低血圧は高齢者にもしばしばみられます。当院では5分間仰臥位を取っていただいて血圧測定し、その後急に立って頂いて再測定を行っています。患者さん全員をそのように測定しないと、起立性低血圧は見えない病気ですので見逃してしまうからです。

糖尿病の方には自律神経障害が多く、起立性低血圧はその代表選手です。また、多剤の内服をしている方はお薬の副作用の可能性もあります。夜間に小用で目が覚め、立ち上がった瞬間に失神して腰椎圧迫骨折。長期入院となり、認知症や肺炎を合併して亡くなってしまうような経過も珍しい話ではありません。

高齢者が立ち上がる時は、頭を急に上げず、ゆっくりと立ち上がったあと、頭をあげるようにした方がいいでしょう。また周りに安定したものがあれば元気な方でもつかまり立ちをした方がいいでしょう。


低血圧も生活習慣病?

もちろん、低血圧も立派な生活習慣病です。低血圧を放置する事は色々な病気の土台を作ることにつながります。生活の質を落としてしまい、このかけがえのない人生をつまらないものにしてしまいます。

生活習慣病である以上、高血圧や糖尿病と同じく体質が関わっていることは間違いありません。

さらにライフスタイルが大きく関係しています。不規則な食事、偏食、塩分、ミネラルの少ない食事、運動不足、日光に当たらない引きこもりがちの生活、遅寝遅起きの生活スタイル、生き甲斐を見出せない生活などが関わっていると言われています。低血圧が改善されないとこれらの環境要因がさらに悪化するのですからまさに悪循環です。

このような不健康なライフスタイルが心臓の力を弱め、体の末梢に汚れた静脈血が貯留し、全身の循環が悪くなるのですから、どこにどんな症状が出てもおかしくありません。多彩な症状が現われてくると自律神経失調症との診断を受けやすい状態になっていきます。

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