こどもに起こる脳卒中「もやもや病」

幼稚園児が激しく泣いている最中や熱いものをフーフー冷やしながらしながら食べている時、リコーダーを吹いている時などに急に手足に力が入らなくなってその場にへたれこんでしまいます。親御さんや幼稚園の先生はいったい何事が起ったのかとびっくりします。あとからよく聞いてみると以前から時々腕に力が入らなかった事やしゃべりにくかった事があったと話します。子供ですから事の重大さに気づかず、親に報告しなかったのでしょう。これが子供の脳卒中「もやもや病」の典型的な症状です。


もやもや病とは

脳を栄養している内頸動脈などの大切な血管が狭くなったり閉塞すると、足りない血流を補うために小さなちりちりした血管が周囲からたくさん生まれてきます。血管造影を行いますとその血管がもやもやしたタバコの煙のように見えるのでこの名前がつけられました。もやもや病(Moyamoya disease)は日本で1965年に命名され世界に知られた疾患です。5歳前後に起こる小児型と30歳~40歳に起こる成人型があります。原因はまだわかっていませんが、家族発症例が10%あることを考えると遺伝性が関わった病気であることは間違いなさそうです。


症状の起こり方

ちりちりしたもやもや血管は日常生活に困らない程度の血流を供給してくれてはいるのですが、運動や激しい呼吸などの非常時ではちょっと事情が違ってきます。号泣したり熱いうどんをフーフーと吹き冷ましするような過換気状態では血中の二酸化炭素濃度が減ります。激しく泣いて脳のエネルギー需要が高まっているにもかかわらず、二酸化炭素が低下しますと細い脳血管がさらに収縮して益々血流不足に陥り、運動麻痺や発語障害、痙攣などの脳虚血症状を来たしてしまうのです。


診断の方法

まずは病歴からこの病気を疑う事が大切です。てんかんなど似た症状の病気もありますので、経験が豊富で設備の整った基幹病院の脳神経外科で精密検査を行う方がいいでしょう。CT検査でもやもや病を疑わせる所見はまずありませんので、MRI,MRAさらには脳血流検査、脳血管撮影が必要です。脳血管撮影を行いもやもや病の進行度を6段階に分類し、それに応じた治療法が選択されます。


治療方法:血行再建術

一度そのような発作が起こっても繰り返すことがなく日常生活が普通に過ごせる状態であれば必ずしも手術は勧めません。過呼吸に注意して(あまりフーフーしたり、リコーダーを吹かないようにして)普通に生活してもらいます。

もし、発作を繰り返していて進行したステージであれば手術を行うことになります。内頸動脈が狭窄しているのですからそれを拡張させてやれたらそれに越したことはないのですが、現在まだ有効な手段は見つかっていません。ですから現在はバイパス手術によって血流を補ってやる手法が取られています。これが血行再建術です。方法はいくつかありますが、直接的にバイパスを作る場合は頭皮下の動脈と脳内の動脈をつなぐ方法を用います。間接的に血流を増やす場合には側頭筋や硬膜の動脈を用いる方法が一般的ですが、どちらも熟達した専門的な脳外科医チームの技術が必要です。