不眠の脳科学(3) 交代勤務者の睡眠術

日本の労働者の5分の1は交代勤務者です。工場や医療、交通関係や飲食業などで深夜早朝まで頑張って働いている人たちがたくさんいます。交代勤務者の問題点は不規則でバランスの悪い食事と運動不足、そして睡眠です。

交代勤務を連続して行なうと生体リズムが狂ってしまいますので、まず連続させない事が大切です。単発の徹夜勤務のケースでは午前中に軽く仮眠をとり、夜にしっかり寝れば特に問題はありません。その際、生体リズムを崩して不眠の原因にならないように、朝から夕方まで一気に長時間寝てしまわない事が大切なポイントです。

問題となるのは連続する交代勤務や深夜勤務のケースです。朝帰宅しても世の中が動き出す慌ただしい時間帯ですのでなかなか寝つけません。もともと朝の光は体内時計をリセットさせる効果がありますので、それを浴びると益々眠れなくなります。ですから早朝に帰宅する仕事を続ける場合はサングラスをかけて帰宅するのが有効です。部屋も薄暗くしてパソコンやスマホは見ないようにします。それでも午前中なかなか寝つけない人はお昼ごろから4、5時間寝るようにします。体内リズムの影響で人間が一番眠くなる時間帯を利用するのです。

アルコールを飲んで寝るという人もいますがこれは昼夜問わず良くない方法です。アルコールは3,4時間後にアルデヒドという物質に変わります。これは脳を覚醒させる物質です。寝つきが良くなるように感じますが、体内で覚醒物質に変わるので早く目が覚めます。「睡眠不足なのに早く目覚めてしまう」のですっきりしない一日になります。依存性もありますのでどんどん飲酒量が増えていくという問題もあります。そういう場合は医師の判断で正しく睡眠薬を使う方がいいのです。

さらに、アルコールと睡眠薬を一緒に飲む人もいますがこれが一番危険です。夜間のトイレや飲水などの行為を完全に忘れてしまったり、ふらついて転倒することも増えます。冷蔵庫の中のものを手当たり次第食べてしまい、それを覚えていないという健忘症の事例もあります。アルコールを飲んでから睡眠薬を飲む場合は最低でも3時間は空けることが必要です。

最後にトイレの話。年を取るとトイレに起きることが多くなります。これは年齢と共に睡眠が浅くなってくるという睡眠の深さと関係があります。眠りが浅くなると膀胱が小さくなるのでトイレに行きやすくなるのです。若い頃は眠りが深いので膀胱が小さくならないのです。高齢者の深い眠りは就寝から3時間後に現われる事がわかっていますので、最初の3時間に尿意で目覚めなければ睡眠障害にはなりにくいのです。睡眠薬による治療が必要になるかどうかは最初のトイレタイムが就寝後何時間で起こるのかがポイントです。