子供が頭痛を訴えるとき

頭痛の子供が増えています。風邪や発熱に伴う頭痛で保健室を訪れる児童は昭和の昔から多かったものですが、最近はそうではない頭痛が増えているのです。この頭痛に関する知識がないと、表現能力に乏しい子供たちの頭痛を軽く考え過ぎてしまうことにもなりかねません。風邪や蓄膿症などの感染症に伴わない小児の頭痛には主に二つのタイプがあります。

ひとつは「小児の片頭痛」、もうひとつは「慢性連日性頭痛」といわれるタイプの頭痛です。保健室の先生や頭痛の子供を持った親御さんはこの特徴を知っておくといいと思います。

小児の片頭痛

片頭痛は片頭痛発作とも言われるように、「頭痛のある時は寝込むほどに痛いけれども、そうでない時は普通に生活できる」という特徴を持っています。だらだらと毎日痛むものではありません。頻度は数か月に一度から月に数度までさまざまで、痛む場所は小児の場合は前頭側頭部に多い傾向があります。大人の片頭痛では一旦頭痛が始まると半日以上続くことが多いのですが、小児片頭痛は持続時間が短いという特徴があり、年少児では強い頭痛が1時間以上続けば片頭痛を疑います。

片頭痛はズッキンズッキンと痛む、日常の動作で痛みが悪化する、光や音に敏感になり不快に感じる、吐気、嘔吐を伴うという特徴を持っていますので、これらの特徴が二つ以上あり、暗く静かな部屋で数時間休むことで軽快する傾向があれば片頭痛の可能性が高いと言えます。また遺伝性の高い疾患ですので母親に同様な頭痛がないかを尋ねておくことも大切です。

片頭痛は生活支障度の高い頭痛です。会社を休んだり授業を受けられなかったりするほどの強い痛みで苦しむことも稀ではありません。熱がないからといって風邪の子供より軽く考えてしまうのは問題です。保健室では「1時間ルール」というのがあると聞きますが、片頭痛の場合は数時間、光を遮断し軽く頭部を冷やして安静を取らせてあげて欲しいと思います。片頭痛が疑われたケースでは適切な薬物治療も必要ですので頭痛専門医を受診させるよう御家族に勧めてください。


慢性連日性頭痛(chronic daily headach:CDH)

CDHは私たち医師や保健室の先生たちを一番悩ませる頭痛です。CDHの定義は、1日4時間以上の頭痛が、月15日以上、3か月以上続くというもので、これは不登校の原因の一つになっています。筑波学園病院小児科思春期頭痛外来(藤田光江先生)の統計ではCDHは女児が男児の2~3倍多く、12歳~14歳の中学生に多く見られることが分かっています。

慢性化の要因には患児生来の性格、勉強についていけない、クラスや部活での人間関係、父母の不仲や過保護など多くのファクターがあると考えられます。環境にうまく適応できる子ばかりではありませんので人間関係を器用に構築できない子供たちはそのストレスから頭痛を訴え始め、CDHとなって不登校を招くことになるのです。

前述しましたように片頭痛の場合は頭痛発作以外の時は元気に活発に学園生活を送ることができます。けれどもCDHの場合は登校こそしてくるものの何となく覇気や元気がなく、次第に頻繁に保健室を利用するようになります。このような場合は心理社会的要因が潜んでいると考えられますので、まず頭痛をありのまま受容してあげることが大切です。しばらくは静かにその痛みの訴えを受容してあげながら、徐々にどのような心因性の問題を抱えているのかを聞き出すことが必要になります。


大人の役割

医療機関はこのような子供たちに何か特別な病気が潜んでいないかを調べる役割と、カウンセリングなどを通して頭痛を解決する役割を担っています。頭痛が続くと御家族は脳内に脳腫瘍などのなんらかの異常があるのではないかと心配になりますので、画像診断を一度は受けておく方がいいと思います。

また、CDHと子供たちの心理社会的背景の関係について私たちはいつも心を傾注していかなければいけません。CDHの中で心理社会的問題を抱えているケースは60-70%あると考えられており、その約半数が不登校に直結しているからです。もともと思春期は適応障害や不安障害など精神性疾患の多発する時期ですので、養護教諭の観察が医療機関受診のきっかけになることも多いのです。先生や御家族は子供の心の葛藤が「頭痛」という身体症状で表出されている可能性を常に考えて接していただきたいと思います。


(参考資料:日本頭痛協会 知っておきたい学童生徒の頭痛の知識 / 日本頭痛学会 慢性頭痛の診療ガイドライン)

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