腋窩多汗症(ワキ汗)のボツリヌス療法

腋窩多汗症(ワキ汗)のボツリヌス療法

夏になるとワキの汗に悩む方が増えてきます。当院ではワキに多量の汗をかき生活に支障が出る重症腋窩多汗症の方にボツリヌス治療を行っています。当院脳神経外科はボツリヌス治療の認定施設ですので10年以上にわたり片側顔面けいれん、眼瞼けいれんの方の治療を行なってきましたが、現在は重症腋窩多汗症の治療法としても保険診療が認められ、左右で約3万円(3割負担の場合)の費用で行えるようになりました。効果は4~9カ月持続します。

腋窩多汗症とは日常生活に支障が出るほど多くの汗が出る病気のこと

腋窩多汗症
多汗症の症状があらわれやすい部位は身体の中でも手のひら、足の裏、ワキの下、額など汗腺が密集している場所です。この病気は思春期から中年世代まで社会的活動が盛んな年代に多いために生活上支障を来たしやすいのです。服の汗染みが気になって着たい服が着られない、電車のつり革につかまる時人目が気になる、緊張すると汗が出始め、意識するとさらに大量の汗が出るといった症状で困っていても体質だと諦めている人もいます。

そのような方は腋窩多汗症ではないか、下の項目でチェックしてみてください。

腋窩多汗症の診断

原因不明の過剰なワキの汗が半年以上前から続いていること

さらに、以下の6項目のうち2項目以上に当てはまる

  • 両ワキに同じくらい汗をかく
  • ワキの汗が多いため日常生活に支障を生じている
  • 週1回以上ワキに多くの汗をかくことがある
  • このような症状が25歳より前に始まった
  • 同じような症状の家族、親族がいる
  • 睡眠中は発汗が止まっている

腋窩多汗症の治療方法

診断がはっきりしてもどの診療科に行けばいいのかわからないという方もいると思います。
腋窩多汗症の診断基準を作成しているのは日本皮膚科学会ですのでまず皮膚科を受診するのが一般的です。この病気に対して皮膚科ではまず塗り薬を使います。当院皮膚科では塩化アルミニウムローションをワキの下に毎日塗布する治療を行っていますが、これだけで十分満足できるケースも多いですのでまずは試してみる価値があるでしょう。重症多汗症の場合はこの治療では不十分ですので次の手段としてボツリヌス療法の適応になります。ボツリヌス菌が作る蛋白質の有効成分(ボトックス)をワキの下に約10~15ケ所皮内注射します。この成分が交感神経から汗腺への刺激の伝達をブロックするのです。効果は2、3日後から現われ4~9カ月持続しますので、最も症状の気になる春から秋にかけてのワンシーズンは効果が継続することになります。

腋窩多汗症の治療方法

多汗症だけでなくわきが(腋臭症)にも有効?

多汗症はエクリン汗腺から多量の汗が出る状態で、わきがはアポクリン汗腺から臭いの成分が出る状態です。ボツリヌス療法は汗の量は抑えても臭いを抑えることはできませんので直接的な効果は期待できません。けれども汗の量を減らし清潔にして細菌の増殖を防ぐことで臭いを減らすことは可能ですので、悩んでおられる方は是非医療機関を受診して頂きたいと思います。

参考資料 : ワキの汗でお悩みの方に 東京医科歯科大学 横関博雄

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