新型コロナウイルス感染症の特徴とPCR検査

新型コロナウイルス感染症の特徴とPCR検査

新型コロナウイルス感染症の臨床経過

2020年5月末現在、covid19による世界の感染者数は約549万人、死亡者数は約35万人でロシアや南米で急激に増えている状況です。普通に考えてこれから数年間は世界中がこの病気におびえながら窮屈な生活を強いられることを覚悟しなくてはいけません。厄介な時代になってしまいました。緊急事態宣言は解除されましたが、早くもあちこちから第2波の不穏な情報が伝わってきます。再度、最新の知見を参考にしながら「新型コロナウイルス感染の特徴」を①から⑩にまとめて見ていきたいと思います。早期発見はとても大切です。(日本プライマリーケア学会診療手引きより改変)

①.新型コロナウイルスは、感染から1~14日間の潜伏期(何の症状も出さない時期)を経て
②.感冒様症状(発熱、咳、喀痰、咽頭痛、鼻汁)、全身倦怠感、味覚嗅覚異常が出現し
③.一部のケースでは嘔吐、下痢のような消化器症状を呈し、
④.それらの症状が比較的長く、約7日間持続します
⑤.感染しても無症状のまま推移する感染者もいます

特に全身倦怠感については

⑥.熱があまり高くないのに倦怠感が非常に強いことがあります。また、普通の風邪やインフルエンザでは3~4日で峠を越すのですが新型コロナではそれよりも明らかに症状が長引くのが特徴です。

7日間、症状が持続した後、

⑦.約8割のケースでは自然に経過して治癒します。
⑧.しかし約2割という高い確率で肺炎を合併します。特に高齢者や基礎疾患がある人は肺炎を合併しやすいことが分かっています。
⑨.肺炎に進展したケースの一部が重症化して人工呼吸器を要する状態になります。
⑩.中には「肺炎が発症7日以内に起こり急速に悪化する」ケースもあるので注意が必要です。この経過をとると若い方でも重症化したり亡くなったりしています。

PCR検査は「絶対」なのでしょうか

日本ではPCR検査体制が不備であったために3月以降の医療現場は大変な混乱となりました。診察したいのにできない、検査を受けさせたいのに断られるという無力感の中で数か月を過ごしましたが、ここ福岡市では5月よりやっと検査体制、病床数とも安定してきました。

PCR検査はほんのわずかな検体からウイルスのゲノムを検出する非常にデリケートな検査です。この検査の特徴は「感度は低いが、特異度は高い検査」検査といわれます。つまり、陽性と診断されたら間違いなく陽性だけれども、陰性と判定された人の中にも実際には感染している人が一定の確率でいるという不確実性です。PCRをどんどんやって陰性と判定された人たちが広範囲に動き回ると、知らないうちにウイルスを拡散させている可能性があるのです。ですから、疑わしい症状があった場合はPCR陰性でも2週間は自宅安静が必要です。

症状がないのに安心のためにPCRを受けたいと言う人もいますが、PCRにはこのような特徴があること、PCRは絶対ではないことを知っておいてほしいと思います。

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