子ども(赤ちゃん)の頭部打撲:「固いたんこぶ」と「ぶよぶよたんこぶ」

子ども(赤ちゃん)の頭部打撲:「固いたんこぶ」と「ブヨブヨたんこぶ」

普通の硬いたんこぶは「皮下血腫」

子供さんが頭部を打撲した時はその局所をよく見てあげてください。皮フが赤くぽつぽつと点状に変色していることがあります。これは皮下組織の毛細血管から出血した痕跡なので特に心配はありません。出血が多いとその部分が腫れて硬いかたまりができ「硬いたんこぶ」になります。これは皮下組織内に血液が固まっている状態ですので皮下血腫と呼ばれます。「たんこぶができなかったから心配なんです。」という古い迷信のようなものを信じておられる方がまだおられますが、当然たんこぶは強い打撲の方ができやすいのですから、たんこぶがない方が安心です。たんこぶができていても、呼びかけに対する反応がしっかりしていれば、あわてずにしばらく様子をみてあげてください。

たまに見られるブヨブヨたんこぶは「帽状腱膜下血腫」

一方、たんこぶが硬くならず、やわらかい風船や氷枕を押したときのようなブヨブヨしたたんこぶができる時がありこれを「帽状腱膜下血腫」と呼んでいます。帽状腱膜とは頭蓋骨の上を帽子のように覆っている膜の事で、この血腫は帽状腱膜と頭蓋骨の間の隙間に血液が貯留している状態です。この隙間は小血管がたくさんあるスペースですので血液は固まらずさらさらしたまま貯留するのです。そのためこの血腫はおとなの手拳の大きさくらいになったり、さらにどんどん拡がることもあります。「触るとその部分がへっこんでいる」ように感じられたり、頭の形が変形するくらいに巨大になることもあり、親御さんは非常に心配されます。けれどもこの血腫はCT上脳内に異常がないことさえ確認すれば、あとは心配いりません。数週間かかることもありますが、必ず吸収され消えていきます。

文献を調べますと巨大な帽状腱膜下血腫に針を刺して吸引するということが行なわれたこと(山口医学60(3))もありますが、現在そのような治療を行う事は通常なく、大きさや症状を慎重に観察して自然治癒を待つのが普通です。

子どものスポーツと脳震盪(のうしんとう)

ソチ冬季オリンピックが閉幕しました。人間はどこまで勇敢なスポーツに挑戦する生き物なのでしょうか。驚嘆するほどの大技を成功させるために、一流選手たちは気が遠くなるくらいの数の失敗と怪我を繰り返し、それを乗り越えてきたに違いありません。頭が下がります。先月米ワシントン大学は「中学女子サッカー選手では高校や大学の選手に比べ脳震盪が非常に多い」という研究結果を発表しました(JAMA pediatr.)。主な原因は他の選手との接触とヘディングで、この結果を受けて協会では中学生にはヘディングを試合で用いないよう指導する動きが出ています。若い選手は脳が未成熟で首の筋肉が弱くヘディング技術が未熟なため、大人より衝撃が大きいのです。

脳震盪(のうしんとう)とは

脳震盪はその字のとおり脳が急激に揺れ動かされて起こる症状です。ボクシングのノックアウトがその典型ですがサッカーやラグビー、柔道などのコンタクトスポーツでもよく起こります。一時的に意識が無くなる、記憶が無くなる、めまい感、バランス感覚がおかしくなる、頭痛、吐気、視界がぼやけるなどの症状が現れます。ラグビーでは倒れた選手が「魔法の水」というやかんの水をかけてもらい意識を取り戻してプレーを続けるシーンを目にしますが、試合後聞いてみると試合内容を全く覚えていないということがよくあります。試合後に病院で検査を受けた事や帰宅後の出来事を翌朝覚えていないというケースも時折みられます。

脳震盪のレベルは3段階に分けられます。

脳震盪レベル1:軽度
一過性に意識が混濁するが失神はない 記憶正常
脳震盪レベル2:中等度
2分以内の失神 記憶障害 手足のしびれ 持続する頭痛吐気
脳震盪レベル3:高度
2分以上の失神 上記の症状

中等度以上の脳震盪

中等度以上の脳震盪では脳内に異常が発生している可能性がありますので必ず検査を行う必要があります。最も危険な合併症は、脳表と硬膜を繋いでいる架橋静脈が破綻しておこる急性硬膜下血腫です。脳を包んでいる硬膜は頭蓋骨に固定されていますので、激しい打撲や回転が起こると脳脊髄液に浮かんでいる脳と硬膜の間にずれができて血管が破綻して出血し、その血腫が急速に脳を圧迫するのです。これは非常に重篤な出血です。開頭緊急手術を行っても約半数しか救命できず、また高い確率で後遺症を残します。

軽い脳震盪

軽い脳震盪では脳に対する影響はありませんので数日の安静で回復します。打撲直後は安静にして軽く頭部を冷やして経過を見ます。脳震盪を起こした当日は競技に復帰すべきではありません。検査上の異常がなくても頭痛や吐き気が取れない場合は完全に回復するまで最低1週間の安静が必要です。一度脳震盪を起こすと次の打撲で脳震盪を起こすリスクは増加し、より重篤になりやすいというセカンドインパクト症候群が知られています。そのためアメリカ神経学会ではラグビーで明らかな脳震盪を起こした選手には3週間は試合に出させないよう忠告しています。

全国柔道連盟では脳震盪を起こした選手は翌日軽い有酸素運動から始め、接触プレーのない運動を経て徐々に通常の運動に復帰させる1週間のメニューを作成しています(全日本柔道連盟:柔道の安全指導 第3版)。勝利至上主義のスポーツ界ですが、子供たちを危険なスポーツ頭部外傷から守る冷静な目を大人は持っておきたいものです。

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子どもが頭を打った(頭部打撲)時の確認手順

まず、意識がはっきりしているかどうかを確認します。

頭部打撲の直後、大泣きしている時は状況をつかみにくいと思いますが、落ち着いてきたら呼びかけに対して眼を開けて受け答えができるかどうかを確認しましょう。乳児や幼児の場合もいつも通りの反応があればまず心配はいりません。こどもは泣き疲れて眠ってしまう事が多いのですが、呼吸が荒く苦しそうだったり顔色が真っ青でなくいつも通りの睡眠状態であれば問題ないと考えていいでしょう。

ぐったりして呼びかけや刺激に反応がない場合、ひきつけを起こした場合はすぐに救急車を呼ぶ必要があります。


次に、たんこぶの有無や出血しているところがないか確認します。

たんこぶ(皮下血腫)が大きい場合は強い打撲だったと考えられますので、頭蓋骨の骨折や脳内出血などの可能性を考えてすぐに検査を受ける方がいいでしょう。たんこぶもない程度の打撲ならばさほど心配ないと考えていいでしょう。病院を受診するまでの間、たんこぶは軽く冷やしておいてください。皮膚からの出血が多い場合も縫合処置や傷の消毒が必要ですので受診してください。


そして、一晩は近くで様子をみてあげましょう。

子どものけがは夕方に起こることが多いのでその日の夜は近くで様子を見てあげましょう。こどもは嘔吐中枢が敏感なので嘔吐することもありますが、全身状態が良好なら一度くらい吐いても心配はいりません。翌日、特に変わりがなく元気ならばもう大丈夫。普通の生活をさせてあげてください。打った部位やその周囲の痛みは数日間続くこともありますが次第に軽くなっていきます。


さらに、高学年や中高生では記憶の有無も確認しましょう。

中高生になるとスポーツなどで強い衝撃を受ける機会が増えますので脳震盪がおこりやすくなります。打撲前後の練習内容、試合経過、その日の出来事について正確に記憶しているかどうかを確認します。記憶があいまいだったり同じことを何度も繰り返し尋ねる時は脳震盪の可能性があります。

脳震盪は強い打撲であった事を意味していますのですぐに検査を受けさせてください。

最後に、判断に迷った時や不安な時はすぐに受診してください。

 

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子ども(幼児・小児)が頭を打った(頭部打撲)時に気をつけること

子供の頭部打撲についてはいくつかの誤解があります。まず、その有名な誤解を解くことから始めましょう。

誤解1 たんこぶができたから安心。できなかったからアブナイ。

たんこぶは「皮下血腫」と言い、打撲で頭皮下の血管が切れてそこに血液がたまってできるものです。ですから、一般的には打撲の衝撃が強ければできやすいですし、弱ければできにくいのです。非常に大きなタンコブができた場合は、頭蓋骨骨折なども考えなければなりませんので、詳しい検査が必要になります。タンコブもないような打撲は、通常は心配ないことが多いのです。


誤解2 血が出たから安心。出なかったからアブナイ。

出血の有無とケガの重症度とはあまり関係はありません。出血があるということは、皮膚になんらかの傷を負っているということですから、もしかすると縫合する必要があるかもしれません。また、細菌感染を起こして化膿しないように抗生物質の内服が必要かもしれません。血は出ない方がいいに決まっているのです。頭部の出血は小さな傷でも出血量が多く、家族も本人も不安を感じやすいので、そのような場合は受診して頂く方がいいでしょう。

「血が出なかったから血液が頭の中に溜まっているのでは?」。と心配する方もおられますがこれも全く根拠のないことです。万が一重症の打撲で頭蓋骨よりも内側に血液がたまったとしても、それが皮膚の傷から出てくることなどありえません。脳内出血と皮膚からの出血は無関係です。

誤解3 泣いたから安心。吐いたらアブナイ。

幼児の頭部打撲では、激しく泣いて泣き疲れて寝てしまうのが普通です。泣きながら嘔吐することもよくあります。目覚めたあと、元気になりおなかがすいているからといってあまりたくさん与えすぎると、再び吐いてしまうことになります。打撲後で気分がすぐれない時には、消化の良いものを少量食べさせてあげるようにしましょう。子供の嘔吐中枢は敏感ですので、打撲後に吐くこと自体は特にアブナイことではないのです。

泣いたから安心、泣かないと心配。この迷信はどうでしょうか。これは全身の状態から判断することが大切です。通常は泣かない程度の打撲は心配ないと考えていいでしょう。もし、泣く事も出来ないほどの重症ならば、意識状態もかなり悪いはずですのでもちろん一刻を争う事態です。


では、頭部打撲後、どういう状況が要注意なのでしょうか。

意識状態の悪化

打撲した日の夜は、意識状態の変化に注意しておいてください。もうろうとしてきたり、呼びかけても目を覚まさない、急にぐったりとしてきて顔色が悪くなった、などの変化があった時は要注意です。打撲翌日、機嫌が良くなり元気に遊んでいるようならもう心配いりません。

ひきつけ

打撲がきっかけになって、全身痙攣などを起こしたときは、要注意。すぐに検査を受けさせてください。

詳しくはこちらもご覧ください。(子どもが頭を打った(頭部打撲)時の確認手順)

容態に変化があり判断に悩まれたときはすぐに受診してください。

 

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高齢者の頭部打撲でおこる「慢性硬膜下血腫」について

高齢者が頭や顔を打撲し、数週間たってからまれに起こる事があるのは「慢性硬膜下血腫」という出血です。

脳は硬膜という硬い膜に包まれて守られています。この硬膜と脳の間に架け橋の様に架かっている細い静脈が切れ、血液がじわじわと貯留して脳を圧迫し始め、「徐々に悪化する頭痛、頭重感」や「左右どちらかの手足の麻痺、脱力、歩行障害」や「急に物忘れが進行してくる」、「軽い意識障害(一日中ぼんやりしてくる)」などが出現するのがこの病気の特徴です。

高齢者の血管はもろくなって切れやすいうえに、脳が萎縮して硬膜との間にすきまがあるので、脳を圧迫し始めるまでに日にちがかかるのです。
周囲の方は、打撲直後のCT検査で異常が見られなくても、数週間は様子を見て、そのような症状が出ないかを気にかけてあげてください。

この血腫の原因となる打撲は決して激しい打撲だけではありません。自分でも気づかないような軽い打撲でも起こります。頭を打ったことに周囲の方が気づいてないこともよくあります。

また、飲酒量の多い方や血液をサラサラにする薬(抗凝固剤、抗血小板剤)を飲んでいる方にも起こりやすいので注意が必要です。
治療は、頭蓋骨に穴を開けて血液を洗い流す比較的簡単な手術です。全身麻酔も必要ありません。この手術により症状は完全に消失します。