色々な症状に悩まされる低血圧症(2)

低血圧の方の心理症状とは?

神経質、些細なことを気にしすぎる、精神的に不安定、健康に自信がない、健康に気をかけすぎる(自分の身体の状態がどうなっているのかが不安)、いらいら、怒りやすい、とり越し苦労、ストレスに弱いなどがあげられます。
これらの症状を大まかにいうと「たいへん敏感な性格」ということになるでしょう。
敏感であることはプラスでもありマイナスでもあります。感受性が強すぎることは小さなことへのこだわりが強すぎることに繋がり、自分の世界を狭めてしまうかもしれません。
逆に豊かな感受性という点からは、芸術や音楽や建築など創造的な仕事でその才能を発揮できるチャンスがあるといえるでしょう。与えられた環境や体質をプラスに考えて人生に活かそうとするポジティブさを忘れないようにしたいものです。


低血圧の社会的症状とは?

私たちは社会的な生活をしてゆく中で周囲に適応していかなければなりません。
低血圧の方は一般的にはあまり器用に適応できないと言われています。

1 過剰適応

低血圧の方は通常体力があまりないことが多いのですが、性格はとても真面目なので、無理に社会に適応としようとして非常にストレスフルな生活を強いられてしまいます。
これが過剰適応です。頑張りに頑張りを重ねるので周囲からの信頼も厚く成功するのですが、そのストレスが過剰になることで色々な病気を引き起こしてしまうことになります。

2 適応不全

低血圧で起きられない、登校できないという状況は不登校、出社不能状態へ繋がります。
朝起きが苦手で、頭痛や腹痛や下痢、全身倦怠感などで登校、出社ができないので、結果的に自分に自信を失っていきます。このような症状は低血圧が全ての原因ではもちろんないのですが、低血圧症がそのきっかけになっていることも多いのです。


低血圧症の方はどうやって頑張っていけばいのでしょうか

第一には患者さん自身による病気の理解です。

血圧は数値で測るものではありますが、低血圧患者が持ちやすいライフスタイルやメンタル面での特性を自ら理解してセルフコントロールしてゆくことが大切です。生活習慣やライフスタイルを変えることは容易ではありません。ですから、充実している生活を送っていない人は苦労してライフスタイルを変えてまで低血圧を克服しようとは思わないのです。生きる意味への気づきは自分の人生を懸命に生きることの責任と自由性によって支えられているのだと思います。それに気づくためには小さな達成感をひとつずつ積み重ねてゆくことが何より大切なのです。

第二に生活療法です。

  1. 早寝、早起き、十分な睡眠、バランスのいい食事、特に朝食は必ずとりましょう。
  2. 体調のいい時に頑張り過ぎず、休息は十分に。
  3. 適度な運動をしたり、リラックスできる時間を持ちましょう。
  4. 朝起きが苦手な人は起床時にシャワーを浴びましょう。
  5. 食事は暖かい物を摂り、お酒も暖かいものを飲みましょう。
  6. 塩分の多い食事を摂りましょう。
  7. チェダーチーズを食べましょう。血圧をコントロールするチラミンが含まれています。
  8. コエンザイムQの含まれているものを食べましょう。

(牛肉、豚肉、鶏肉、ウナギ、イワシ、豆、ゴマ、ブロッコリー、ニンンク、ナス、キャベツ、サツマイモ、ジャガイモ)これらの食物には人間の臓器を正常に働かせるために必要な補酵素コエンザイムQが含まれていて、細胞がエネルギーを作るのに役立ちます。

色々な症状に悩まされる低血圧症(1)

起立性低血圧とは

私たちは日頃の生活の中で色々な動きをしながら生活をしています。通常、横になったり座っている状態から立ち上がると、一時的に心拍数が増え、それに伴って血圧も上昇します。立ち上がることで下半身に血液が集まり、脳に行く血液が減るのを防ぐ自律神経の防御反応です。ところがそれとは真反対の血圧変動をする人がいます。起立時に血圧が急激に低下し、と同時に「立ちくらみ」「失神」などを引きおこすのです。仰臥位から立位に体位変換した時、収縮期血圧が21mmHg以上下降して100mmHg以下(低血圧)になる状態を起立性低血圧と呼んでいます。


どの様な症状が?「起立性調節障害」とは違う?

一番良く見られる立ちくらみに加え、立っていると気持ちが悪くなる、朝なかなか起きられず、午前中が不調、疲れやすい、乗り物に酔いやすい、食欲がないなどの諸症状が見られます。朝礼や体育祭で座り込む女子高校生、電車やバスの通勤中に気分不良で倒れこむOL、深夜のトイレで倒れる高齢者。その多くが起立性低血圧でしょう。

起立性調節障害」では起立性低血圧ほどの極端な血圧低下はありませんが、小児や思春期に多く見られ、多くの不快な症状に悩まされ、楽しいはずの学園生活をつらいものにしています。若い女性に多い起立性調節障害は「起立失調症候群」と呼ばれているように、立ちくらみや動悸、暑さに弱い、顔が青白い、元気が出ない、胃腸の不調、不安感、適応障害など多くの自律神経症状に苦しめられます。「自律神経失調症」「不定愁訴」と診断されている方の中にもこの病態の方が含まれています。


高齢者の低血圧

起立性低血圧は高齢者にもしばしばみられます。当院では5分間仰臥位を取っていただいて血圧測定し、その後急に立って頂いて再測定を行っています。患者さん全員をそのように測定しないと、起立性低血圧は見えない病気ですので見逃してしまうからです。

糖尿病の方には自律神経障害が多く、起立性低血圧はその代表選手です。また、多剤の内服をしている方はお薬の副作用の可能性もあります。夜間に小用で目が覚め、立ち上がった瞬間に失神して腰椎圧迫骨折。長期入院となり、認知症や肺炎を合併して亡くなってしまうような経過も珍しい話ではありません。

高齢者が立ち上がる時は、頭を急に上げず、ゆっくりと立ち上がったあと、頭をあげるようにした方がいいでしょう。また周りに安定したものがあれば元気な方でもつかまり立ちをした方がいいでしょう。


低血圧も生活習慣病?

もちろん、低血圧も立派な生活習慣病です。低血圧を放置する事は色々な病気の土台を作ることにつながります。生活の質を落としてしまい、このかけがえのない人生をつまらないものにしてしまいます。

生活習慣病である以上、高血圧や糖尿病と同じく体質が関わっていることは間違いありません。

さらにライフスタイルが大きく関係しています。不規則な食事、偏食、塩分、ミネラルの少ない食事、運動不足、日光に当たらない引きこもりがちの生活、遅寝遅起きの生活スタイル、生き甲斐を見出せない生活などが関わっていると言われています。低血圧が改善されないとこれらの環境要因がさらに悪化するのですからまさに悪循環です。

このような不健康なライフスタイルが心臓の力を弱め、体の末梢に汚れた静脈血が貯留し、全身の循環が悪くなるのですから、どこにどんな症状が出てもおかしくありません。多彩な症状が現われてくると自律神経失調症との診断を受けやすい状態になっていきます。