肺炎球菌ワクチンの意義

2014年10月から65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始されました。これにより重症肺炎による全身状態の悪化や寝たきりが減少する事が期待されています。一方で、多くの持病を持つ高齢者であっても5歳刻みの定期接種しか認められていないという問題もはらんでいます。肺炎球菌ワクチンの意義はどのようなものでしょうか。


1.65歳はまだ元気な方が多いのにそんなに早くからワクチンが必要なのでしょうか。

見た目に元気でも体力や身体機能は確実に老化しています。一旦肺炎になると抵抗力は思いのほか落ちていることがあるのです。元気なうちからワクチンで抗体を獲得しておくことが大切と考えられています。


2.肺炎は抗生物質や抗菌剤で治療できるのにワクチンを打つ必要があるのでしょうか。

確かに肺炎の多くは抗生物質で治癒させることができます。しかし、高齢者では抵抗力が低下して抗生物質が効きにくく重症化しやすい傾向があります。また、一旦治癒しても再発しやすく、そのたびに全身状態が低下していき、寝たきりになりやすくなるのです。肺炎で入院すると認知症になる可能性が2~3倍になるというデータもあります。健康寿命を延ばすために、肺炎は治すのではなく、予防することが大切なのです。


3.肺炎球菌ワクチンだけでは全ての肺炎を予防できないのではないでしょうか。

肺炎には色々な細菌が関わっていますが、中でも肺炎球菌は市中肺炎の中で圧倒的に頻度の高い原因菌で、40%近くになると言われています。このワクチンだけで全ての肺炎を予防はできませんが、ワクチン接種によって重症化や死亡につながりやすい肺炎を予防することは大きな意義があるのです。


4.他に必ず接種した方がいいワクチンは何でしょうか。

インフルエンザワクチンは成人用肺炎球菌ワクチンと並んで定期接種が推奨されていますので毎年接種した方が良いでしょう。高齢者がインフルエンザに罹患すると抵抗力が落ちて二次感染を来たしやすくなります。この原因菌の多くが肺炎球菌です。この二種のワクチンはどちらも適切なタイミングで受けておく方がいいのです。


5.肺炎球菌ワクチンには2種類あるのですか。

現在日本では一種類のワクチンが定期接種に使用されていますが、アメリカでは二種類の異なる作用の肺炎球菌ワクチンを連続接種することでより強い予防効果をあげています。日本でも日本呼吸器学会と日本感染症学会が二種連続接種に高い予防効果があると認め、新しいワクチンが任意接種で使われ始めていますので、今後は連続接種が当たり前になっていくのかもしれません。