あの日の自分に会いに行く「神経ノスタルジア」

あの日の自分に会いに行く「神経ノスタルジア」

ある音楽を聴くと、急に昔の記憶が蘇る事があります。その音楽のおかげで子供時代や青春時代や様々な時代の思い出が蘇り、懐かしい気持ちに浸ることができます。「懐メロ効果」と呼んでもよさそうなこの「神経ノスタルジア現象」には、心理学的に興味深い意義があることがわかってきました。

脳の快楽回路を活性化させる「郷愁」の仕組み

ノスタルジアとは郷愁、過ぎ去った過去を懐かしむ気持ちのことです。ある特定の音楽が脳に入ると、脳はその音楽を過去の記憶と結びつけます。すると神経細胞からドーパミン、セロトニン、オキシトシンなどの神経ホルモンが放出されて脳の快楽回路が活性化し、私たちを「いい気持ちに」に浸らせてくれます。ノスタルジアには気分を高めたり、逆に落ち着かせたり、深い記憶を呼び覚ます働きがあるらしいのです。

20代前半までの音楽が「自分自身」を思い出させる

心理療法士ニッキー・ロイの著書(和訳版)によると、神経ノスタルジアが起きやすいのは20代前半までの楽曲で、人格形成がなされる時期に、印象深い記憶と共に蓄えられた音楽によって引き起こされます。また、「神経ノスタルジアは過去の曲を思い出させるだけでなく、その曲を聴いた頃の自分がどんな人間だったのかを思い出させている」と分析しています。

人格形成と感情の激しさがピークに達する青春の音楽は深く脳に刻みこまれます。その音楽は自伝的記憶と強く結びついているので、数十年後にその楽曲を聴くとメリーゴーランドにスイッチを入れた時のように、一気に当時の記憶と感情のネットワークが動き始めるのです。

心のコントロールに活用される懐メロの力

休日にのんびりと聴くThe Beatles, Simon and Garfunkel, Carpenters・・・そういえばあの頃の自分を無意識に思い出しているかもしれません。臨床心理士の中には患者さんの感情をコントロールするための心理学的方法として、この神経ノスタルジアを利用している人もいます。懐メロを聴いたり歌うことで何となくいい気分になれるのもそんな脳の仕業なのですね。

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