高齢者の頭部打撲でおこる「慢性硬膜下血腫」について

高齢者の頭部打撲でおこる「慢性硬膜下血腫」について

高齢者が頭や顔を打撲し、数週間たってからまれに起こる事があるのは「慢性硬膜下血腫」という出血です。

脳は硬膜という硬い膜に包まれて守られています。この硬膜と脳の間に架け橋の様に架かっている細い静脈が切れ、血液がじわじわと貯留して脳を圧迫し始め、「徐々に悪化する頭痛、頭重感」や「左右どちらかの手足の麻痺、脱力、歩行障害」や「急に物忘れが進行してくる」、「軽い意識障害(一日中ぼんやりしてくる)」などが出現するのがこの病気の特徴です。

高齢者の血管はもろくなって切れやすいうえに、脳が萎縮して硬膜との間にすきまがあるので、脳を圧迫し始めるまでに日にちがかかるのです。

周囲の方は、打撲直後のCT検査で異常が見られなくても、数週間は様子を見て、そのような症状が出ないかを気にかけてあげてください。

この血腫の原因となる打撲は決して激しい打撲だけではありません。自分でも気づかないような軽い打撲でも起こります。頭を打ったことに周囲の方が気づいてないこともよくあります。

また、飲酒量の多い方や血液をサラサラにする薬(抗凝固剤、抗血小板剤)を飲んでいる方にも起こりやすいので注意が必要です。

治療は、頭蓋骨に穴を開けて血液を洗い流す比較的簡単な手術です。全身麻酔も必要ありません。この手術により症状は完全に消失します。

関連記事

  1. 頭部打撲による「外傷性髄液漏」とは

    頭部打撲による「外傷性髄液漏」とは

  2. 子供の「ぶよぶよたんこぶ」と「固いたんこぶ」いつ治る?

    子供の「ぶよぶよたんこぶ」と「固いたんこぶ」いつ治る?

  3. 子供のスポーツと脳震盪(のうしんとう)

    子供のスポーツと脳震盪(のうしんとう)

  4. 子供(乳幼児)の頭部打撲:ぶよぶよたんこぶの対処法

    子供(乳幼児)の頭部打撲:ぶよぶよたんこぶの対処法

  5. 子供が頭を打った(頭部打撲)時の確認手順

    子供が頭を打った(頭部打撲)時の確認手順

  6. 子供が頭を打った(頭部打撲)時に気をつけること

    子供が頭を打った(頭部打撲)時に気をつけること

ピックアップ記事

  1. スポーツ顔面外傷の注意点
  2. 新型コロナウイルス感染の正しい怖がり方
頭痛関連記事
最近の記事 よく読まれている記事
  1. 「高次脳機能障害」の4大症状
  2. おだやかアルツハイマー
  3. 日本人の慎重遺伝子
  4. 損失2800億円の片頭痛
  5. 頸椎症でおこる歩行障害
  1. 高齢者の頭部打撲でおこる「慢性硬膜下血腫」について
  2. 頭部打撲による「外傷性髄液漏」とは
  3. 腋窩多汗症(ワキ汗)のボツリヌス療法
  4. 子供のスポーツと脳震盪(のうしんとう)
  5. 帯状疱疹と顔面神経麻痺:(ラムゼイハント症候群)
PAGE TOP