子供の「ぶよぶよたんこぶ」と「固いたんこぶ」いつ治る?

子供の「ぶよぶよたんこぶ」と「固いたんこぶ」いつ治る?

子どものたんこぶに関しては、一般的には問題ない場合が多いですが、気になる場合や症状が強い場合は、医師に相談して適切な検査や治療を受けることが大切です。

普通の固いたんこぶは「皮下血腫」

子供さんが頭部を打撲した時はその局所をよく見てあげてください。皮フが赤くぽつぽつと点状に変色していることがあります。これは皮下組織の毛細血管から出血した痕跡なので特に心配はありません。出血が多いとその部分が腫れて硬いかたまりができ「固いたんこぶ」になります。これは皮下組織内に血液が固まっている状態ですので皮下血腫と呼ばれます。「たんこぶができなかったから心配なんです。」という古い迷信のようなものを信じておられる方がまだおられますが、当然たんこぶは強い打撲の方ができやすいのですから、たんこぶがない方が安心です。たんこぶができていても、呼びかけに対する反応がしっかりしていれば、あわてずにしばらく様子をみてあげてください。

たまに見られるブヨブヨたんこぶは「帽状腱膜下血腫」

一方、たんこぶが硬くならず、やわらかい風船や氷枕を押したときのようなブヨブヨしたたんこぶができる時がありこれを「帽状腱膜下血腫」と呼んでいます。帽状腱膜とは頭蓋骨の上を帽子のように覆っている膜の事で、この血腫は帽状腱膜と頭蓋骨の間の隙間に血液が貯留している状態です。この隙間は小血管がたくさんあるスペースですので血液は固まらずさらさらしたまま貯留するのです。そのためこの血腫はおとなの手拳の大きさくらいになったり、さらにどんどん拡がることもあります。「触るとその部分がへっこんでいる」ように感じられたり、頭の形が変形するくらいに巨大になることもあり、親御さんは非常に心配されます。けれどもこの血腫はCT上脳内に異常がないことさえ確認すれば、あとは心配いりません。数週間かかることもありますが、必ず吸収され消えていきます。

文献を調べますと巨大な帽状腱膜下血腫に針を刺して吸引するということが行なわれたこと(山口医学60(3))もありますが、現在そのような治療を行う事は通常なく、大きさや症状を慎重に観察して自然治癒を待つのが普通です。

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