中高年の尿トラブル(2)

中高年の尿トラブル(2)

生活障害となる頻尿・夜間頻尿

尿トラブルで最も多い症状は頻尿です。昼間8回以上、夜間1回以上排尿がある状態と定義されますが、本人が困っていなければ特に治療の必要はありません。

頻尿は大きく3つのグループに分けられます。

一つめは昼夜の頻尿に加えて、尿の出にくさ、尿意ひっ迫感、切迫性尿失禁などを伴っている場合です。この場合は過活動性膀胱前立腺肥大症などの原因が考えられます。これらの病気で排尿が不十分になると膀胱内にいつも尿が残ることになり、何度もトイレに行きたくなってしまいます。

二つめは昼夜の頻尿はあってもそれ以外に症状がないタイプです。この原因はおそらく水分の過剰摂取。水を飲まないと脳梗塞になるといって水分を摂りすぎる人によくみられる症状です。食事の時に普通に水分を摂っていれば問題はありません。

三つめは夜間頻尿だけのグループです。夜間に2度以上の排尿があり、生活に支障が出ているタイプです。これは高齢になるほど多く、慢性的な睡眠不足や転倒の原因になります。夜中にトイレで頭部を打撲して、翌朝私たちのクリニックを訪れる方の多くはこのグループです。主たる原因は加齢。具体的には抗利尿ホルモン(尿量をコントロールする脳下垂体ホルモン)の分泌低下、膀胱容量の縮小、睡眠障害(眠りが浅くなると膀胱が小さくなる)などの原因です。さらに肥満、高血圧、糖尿病があると夜間頻尿のリスクは高まります。

生活習慣の見直しと行動療法

まず、食事以外の水分摂取量を1000㏄~1200㏄程度に抑えることです。

またダイエットは特に女性の頻尿改善に効果があるという研究報告があり、肥満傾向の女性が5~8%体重を落とすだけで、頻尿や尿漏れが改善することがわかっています。減量で骨盤底筋群への負担が減り、膀胱にかかる腹圧が減ることがその理由です。

夕食、入浴は寝る3時間前までに済ませましょう。尿は食事後2,3時間後に排出されますので湯船につかって血行を良くして、しっかり排尿してから就寝するようにしましょう。

日ごろから膀胱訓練を

トイレを我慢する時間を延ばすのが膀胱訓練です。自宅にいると、尿意を感じるとすぐにトイレに行ってしまいますが、その習慣に慣れてしまうと、外出先でとても大変な目にあうことになります。尿意を感じたら尿道括約筋をぎゅっと締めてトイレに行くのを我慢し、膀胱に溜められる尿量を徐々に増やしていきます。他の仕事をして気を紛らわすのも効果があります。徐々に時間を延ばして3,4時間我慢ができるようになれば安心です。

但し、男性の場合、重症の前立腺肥大症があればこの訓練は危険ですのでご注意を。

関連記事

  1. 高校野球を見ながら考える「投手酷使指数」

    高校野球を見ながら考える「投手酷使指数」

  2. アリ地獄のギャンブル障害

    アリ地獄のギャンブル障害

  3. 高齢者の「静かなてんかん発作」―最近のケースからー

    高齢者の「静かなてんかん発作」―最近のケースからー

  4. 「神経神話」:右脳型人間、左脳型人間の幻想

    「神経神話」:右脳型人間、左脳型人間の幻想

  5. 家庭内血圧を重視する高血圧新ガイドライン 2014

    家庭内血圧を重視する高血圧新ガイドライン 2014

  6. 最もよくみられるめまいの病気「頭位めまい症」

    最もよくみられるめまいの病気「頭位めまい症」

ピックアップ記事

  1. 高齢者の頭部打撲でおこる「慢性硬膜下血腫」について
  2. 子供が頭を打った(頭部打撲)時に気をつけること
最近の記事 おすすめ記事
  1. 南米を襲っている「ラムダ株」は日本にも?
  2. 西暦2030年の新型コロナ
  3. 「コロナうつ」と言われたら。
  4. 新型コロナ、1年間で見えてきたこと「症状からワクチンまで」
  1. 「運転したい」高齢者VS 「やめてほしい」家族
  2. 片頭痛にめまいが合併する「前庭性片頭痛」
  3. スポーツ顔面外傷の注意点
  4. 子供が頭を打った(頭部打撲)時の確認手順
  5. 帯状疱疹と顔面神経麻痺:(ラムゼイハント症候群)

記事一覧

  1. 頭部打撲による「外傷性髄液漏」とは
  2. スポーツ顔面外傷の注意点
  3. 「運転したい」高齢者VS 「やめてほしい」家族
  4. 高齢者の頭部打撲でおこる「慢性硬膜下血腫」について
  5. 腋窩多汗症(ワキ汗)のボツリヌス療法
PAGE TOP