新型コロナウイルス:オミクロン株の特徴

新型コロナウイルス:オミクロン株の特徴

足かけ4年目に突入したCovid19パンデミック。2022年1月現在までに明らかになったオミクロン株の特徴をまとめてみました。

1. オミクロン株は感染力が強いだけでなく、既存の抗体から逃避する力が強い。そのためデルタ株よりワクチンが効きにくい。

英国保健安全庁(HAS):しかし、ブースター接種(三回目の接種)を終えるとブースター未接種者よりも入院率が88%落ちる。デンマーク家庭内感染研究:家庭内感染率はデルタ株の2倍~4倍なので家庭内でうつり易い。

2. オミクロン株は重症化しにくい。

英国保健安全庁(HAS):救急外来を受診した人の中で、入院に至った割合はデルタ株の3分の1であり、重症化率は低い(重症化例は高齢者が多い)。

3. オミクロン株は急速に悪化する確率が低い

米国ケースウエスタン大学:感染がわかってから3日以内に救急外来を受診する率はデルタ株の2分の1以下であり、急速には悪化しにくい。

4. オミクロン株の症状は鼻づまりや咽頭痛が多い

米ワイルコーネル医科大学:オミクロン株は肺細胞の中では効率よく増殖できない。そのため肺炎を発症せず、重症化しにくい。鼻や副鼻腔を含む上気道では、デルタ株に比べて1000倍以上増殖しやすい。そのため鼻かぜのような症状が出やすい。

5. オミクロン株は口腔内に多く、デルタ株は鼻腔に多い。

そのため、オミクロン株感染を特定するには鼻腔より唾液検査の方が正確であると考える研究者が増えている。(米国FDAはまだ承認していない)

6. 治療薬モルヌピラビルの効果は

入院、死亡のリスクを9.7%から6.8%に低下させたが、このデータにはデルタ株が含まれており正確には不明。パクソロビドに比べると効果は低いと考えられている(New English Journal of Medicine)

7. オミクロン株による後遺症の有無

まだ全くわかっていないが、長引く肺炎などの重症例が少ないのでデルタ株より頻度は少なのではないかと推測されている。

まとめ(ワイルコーネル医科大学 ウイルス学 ジョン・ムーア氏)

オミクロン株は「上気道に感染しやすく、免疫を回避し、感染力が強く、重症化しにくい」という特徴を持っている。この変化は相手を重症化させることなく自分の複製を広げようとする進化であり、ウイルスがみずからの未来を拡げようとしている兆候である。

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