猛暑の中の脳梗塞、救急車を呼ぶタイミング

猛暑の中の脳梗塞、救急車を呼ぶタイミング

脳卒中データバンクの統計を調べますと脳血栓の患者4万人以上を対象にした調査で、脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、やや太い動脈が詰まって重症化しやすい「アテローム血栓性脳梗塞」のどちらもがこの8月に最も多い事が示されています。少ない月は12月と2月です。

これは猛暑で人は脱水状態になり、血液がサラサラからドロドロ状態になることが原因と考えられています。日頃の健康管理が不十分で高血圧や高脂血症、糖尿病などがある方では、動脈硬化が進行して血管が細くなっていますので、特に発症しやすい傾向があります。

人は睡眠中にもコップ2杯分の汗をかきますので水分摂取が大切ということはわかっていても、夜間のトイレ回数が増えるのが困ると言う方が多くおられます。質の良い睡眠をとることも大切ですのでどちらを優先すべきか悩むところです。夜間のトイレの回数が気になる方は夜間には利尿作用のあるお茶やコーヒー、ビールを避ける事が肝要です。お茶なら利尿作用の少ない麦茶がいいでしょう。寝る前にことさら多くの水分を摂る必要はありません。夜間トイレに起きた時に枕元の1杯の水を飲む習慣をつけるなど、少量でもいいので口にすることが大切です。

脳卒中が起こりやすい時間帯は早朝です。脳梗塞は通常、左右どちらかの麻痺で物が持てない、ろれつが回らず言葉がしゃべりにくい、急に顔が麻痺するなどの症状で突然起こります。けれどもごく初期には気分不良、会話中の反応の遅さ、めまい感、ふらつき感などで発症する事もあります。高齢者では「いつもとなんとなく違う」という感じで発症することも珍しくありません。家族の方は気温や脱水症状からくる体調不良をまず疑うと思いますが、水分補給や身体を冷やすなどの手当てをしても症状が改善しない場合はすぐに救急車を呼びましょう。3時間以内に搬送できるかどうかがカギになります。

またこの時期には、脚の静脈にできた血栓が肺に飛んで起こる「肺塞栓症」、スポーツ中や暑い中でのスポーツ観戦中の「心筋梗塞」なども起こりやすくなります。夏の血栓症は突然死の大きな原因の一つです。

関連記事

  1. こどもに起こる脳卒中「もやもや病」

    こどもに起こる脳卒中「もやもや病」

  2. 脳卒中の予防10項目

    脳卒中の予防10項目

  3. ワルファリンに変わる新しい抗凝固療法

    ワルファリンに変わる新しい抗凝固療法

  4. 「高次脳機能障害」の4大症状

    「高次脳機能障害」の4大症状

  5. もうひとつのクモ膜下出血「解離性脳動脈瘤」

    もうひとつのクモ膜下出血「解離性脳動脈瘤」

  6. 脳卒中とうつ病

    脳卒中とうつ病

ピックアップ記事

  1. 「運転したい」高齢者VS 「やめてほしい」家族
  2. スポーツ顔面外傷の注意点
頭痛関連記事
最近の記事 よく読まれている記事
  1. 発達障害の脳科学 その1(特徴と分類)
  2. 血液でわかるアルツハイマーの最新早期診断
  3. 新しい認知症治療薬「レケンビ(レカネマブ)」Q&A
  4. さまざまな失神
  5. 中高年の理想的なダイエット
  1. 子供が頭を打った(頭部打撲)時の確認手順
  2. 「運転したい」高齢者VS 「やめてほしい」家族
  3. 子供の「ぶよぶよたんこぶ」と「固いたんこぶ」いつ治る?
  4. 子供(乳幼児)の頭部打撲:ぶよぶよたんこぶの対処法
  5. 子供が頭を打った(頭部打撲)時に気をつけること

院長ブログ

PAGE TOP